『ダイヤのA』第4巻

『多数の部員を擁する青道高校野球部でなんとか二軍昇格を果たした沢村。
さらに上を目指し、三年生キャッチャー・クリスとともに夏までのレベルアップに挑む!しかし、自分のピッチングの”持ち味”が何なのか分からないまま一軍への生き残りレースは激化していく…!』

単行本第4巻 表4あらすじより

第23話「セールスポイント」~第31話「最後の公式戦」収録

 

4~5巻まとめて感想を書いた方が良い展開(青道対黒士館)ということでまとめて二冊読み込んでいたのですが……野球知識や試合展開の面白さは他の方々が書いて下さっているはずなので私はキャラ中心に感想を述べていきたいと思います。

 

第23話「セールスポイント」
中扉が結城世代。この中扉好きなんです、とっても!! グッズ化いつでもお待ちしております(財布を開きながら)。
師弟(クリス先輩・沢村)のやりとりが微笑ましい。
自分の『持ち味』について大きな勘違いをし迷走する沢村は完全に自分を見失います。そんな沢村に対して礼ちゃんはマウンドを降りることを宣告。
ベンチで落ち込む沢村に対してクリス先輩は励ましともとれる助言を与えます。

師弟……尊い

マウンドを降ろされてしまったのは沢村だけではありませんでした。
指先を痛めた降谷は二週間投げ込み禁止を片岡監督から命じられてしまいます。

夜のグラウンドで自主練に励む沢村に降谷が声をかけます。

降谷『信頼出来る守備に信頼出来る捕手…あのマウンドに立てる投手は本当に幸せだと思う』
私はこの台詞がとても好きで(ろくろを回す)。

丹波さんとクリス先輩の姿を羨ましく感じる降谷が良いですね。この辺りから所謂「降谷暁」の言動に落ち着いてきます。

クリス先輩については三年生達から周囲へのフォローがあってもおかしくないと思うのですが、哲さん達はクリス先輩が自分達の元へと戻ってくることを信じて敢えて何も語らずにいたのかと丹波さんとクリス先輩の会話から読みとれます。
どんなこともプレー(行動)で示すしかない。
そんな愚直さを感じさせるから結城世代は儚くも尊いのかもしれません。

黒士館戦、野球を知らなくても面白く読める描き方になっていると私は思います。
クリス先輩と沢村の師弟バッテリーが活躍する姿で十分なカタルシスを得られるのではないかと。
クリス先輩の目に輝きが戻る瞬間は涙なくしては読めません。

第28話の中扉は二遊間なんですよ。
地味に二遊間の民として美味しい巻でもあったりします。この頃の鉄壁感ある二人が可愛い。まだ「亮介さん」呼びだった頃でしょうか。呼び方については色々な解釈が出来ると思うのですが……哲さん達は早い段階で「哲さん」「純さん」呼びで、亮さんについてはギリギリまで「亮介さん」で通していたような気がするんですよね。その名残で「亮介さん」呼びが出てしまっている時期なのかしらとか。

沢村の「軌道が読めない球」を受けきれない小野。そしてクリス先輩に片岡監督は最後のチャンスを──!
片岡監督『アイツはマウンドでお前を待っているぞ!』

沢村『あの人が引退する前に少しでも成長した姿を見せたいんです!!』

一回目の涙腺崩壊きました。躊躇するクリス先輩を後押しする三年生達。

ここで話が前後してしまうのですがクリス先輩の父親であるアニマルの口によって甲子園に対して批判的な意見が述べられます。

アニマル『今も根強く残る日本の精神論 あんな真夏に投手を連投させる甲子園などアメリカじゃ考えなれない大会だゾ 俺が無理矢理チームから離れさせたんダ それでも部に残るオマエを快く思っていない連中も多いだろう このまま二軍の選手として引退しオマエに何が残ると言うんダ…』

『二年と一年がお前のことどう思っているか知れねーけどよ 俺達三年はみんなお前の努力を知ってんだ 俺達がスランプの時にアドバイスしてくれたじゃねーか お前だってこのチームの一員だろ! 胸張って出てくればいーんだよ!!』

結城世代(三年生)尊い。部活漫画で三年生にハマると苦しみと悲しみが待っているけれども……引退まで残り僅かな時間を精一杯生きようとする三年生尊い

『キャッチャー小野に代わり──滝川』

クリス先輩……!! ※語彙力
交代する小野に言葉をかける……みたいなところ本当に好き……大好き。クリス先輩はいつだって野球にチームに殉じてきたんですよね。

 

第29話「奇策」
沢村の守備を活かす為、クリス先輩の提案によって内野手全員が前に(超前進守備)。


第30話「三人の捕手」
クリス先輩が試合に出ていることを知った結城世代達は自主練習場を後に。
誰よりも先に飛び出していったのは御幸であると降谷。

『二軍の試合に興味なし』と試合を観に行かずに練習を続ける宮内に対して『あはっ これ以上ライバル増えてほしくないもんね♡』と笑う亮さん。

亮さん『後ろから急激に追いかけてくる影 あれは本当に怖いから…』

小湊兄弟の関係の複雑さが出ている良い台詞です。いつかは自分が追い抜かれることを覚悟しながら、それでも「目標」であろうと背中を見せ続けようと、人の何倍も努力を重ねる小湊亮介さん……尊い。球児でプロ野球に興味を持ち続けているくらいの「野球」好きなので自分が選手としてどうなのかも客観視出来てしまっているんですよね。所謂「壁」が見え続けていてもバットを振り続けるその心境たるや……。※語彙力

 

第31話「最後の公式戦」
中扉が結城世代。アニマルに対して自分が出ることのない試合を観に来ることを懇願するクリス先輩の気持ちはどんなものだったのでしょうか。
アニマルが試合を観に来たことに気付いた後の一連の流れは是非読んで下さい。

 

クリス先輩……!! ※語彙力

 

──と、ここまでが4巻なのですが。とにかく内容が濃い。まだ4巻とは思えない情報量と感動であります。しつこいですが「野球漫画」だからといって読まないのは本当に勿体無い作品だと私は思います。まずはキャラクターの成長や心の動きを追うだけでも十分に楽しめますので今からでも遅くない。寧ろ、これからという『ダイヤのA』を宜しくお願いします!!